「その厳しさは、やさしさの裏返しですね」

『上司が「鬼」とならねば部下は勤かず』

(染谷和己著、プレジデント社)

という本が、おじさん世代の間でえらく流行ったことがあります。

いい悪いは別にして男性は

「厳しさのなかにこそやさしさがある。厳しさは愛情の裏返し」

と信じているふしがあります。

それを踏まえて男性からしかられたとき注意されたときに

ぜひ使ってほしいのがこのフレーズです。

たとえば彼に注意されて自分でもちょっとは悪いなと思ったとき。

「たしかに私も悪いと思うけど、そんな言い方しなくてもいいじやない」

と言うかわりに

「それってやさしさの裏返しで厳しく言ってくれているんだよね」

と言ってみましょう。きっと彼は

「そうだよ当たり前じやないか」

と言いながら逆にすごくやさしくなるはずです。

男性も内心は、こんなことを言ったら嫌われてしまうかも

オレって嫌なやつかもやっぱり相手は女の子なんだから

やさしくしなきやいけないんじゃないか…

そんなふうにビクビクしています。

だから、まず受けとめてもらえたことでほっとする。

自分の真意がわかってもらえたとうれしくなる。そのうえ

「愛があるからこその厳しさを示せる、かっこいいオレ」

というプライドまで満たされるのです。

ここで「ひどい!」と責め口調で言ってしまうと

「君のためを思って言っているのに、それがわからないのか」

と、余計に説教がエスカレートしてしまいます。

自分の真意が伝わらない悲しさや憤りで攻撃モードが高まってしまうのです。

するとそれを受けた女性がまた

「ひどい!」と…」なるともう悪循環でしかありません。

かといって単純に「ごめん」と謝られるよりも

「ほんとはやさしいから言ってくれているんだよね」

「私のためを思って厳しく言ってくれているんだよね」

と言われたほうが

「そうだよ、よくわかってくれたな」と

思わず抱きしめたくなるほどグツとくるのが男性なのです。

もちろん、急にその場で気の利いたセリフを言うのは難しいかもしれません。

ですから、注意されたりケンカしたその場では責め返したり

くやしくて泣いてもいいでしょう。

でも、必ず後で

[私のことを思ってくれているのはよくわかっているよ」

とメールしておきましょう。

すると、彼も

「オレも言いすぎたよ」

と責直に謝ってくるかもしれません。

最低限、大ごとになってしまう確率をグンと滅らせるでしょう。

たとえほんとうは単なる気分で口うるさく言ってくるような

彼だとしてもしかられた機会を利用して

「あなたの厳しさの裏にはやさしさがある」

というラベルを貼ってしまえば、やさしさを引き出すことができるのです。

「しかられ上手」というのはビジネス上でも大切なことで

このフレーズが言えると「好かれる部下」になれます。

普段、嫌われている上司と飲みに行ったときにでも

「○○さんの厳しさの裏には、私、愛情を感じます」

「厳しくできる上司こそ、ほんとうの意味でやさしい上司なんですよね」

と言ってみてください。

感動のあまりに泣かれてしまうかもしれません。

そのときは、いいことしたな、ひとりの人間を救っちやったな

来世に向けてよい種をまいたな私と

自らの器の大きさに酔ってしまいましょう。



34.「OOさんの選ぶものだったらなんでもうれしいよ」

目次











































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