「陰で努力していそうですね」
これは、ほめ言葉が思い浮かばないときに便利なフレーズです。
セミナーで参加者のうちの一人を立たせてその人を
ほかの全員でひと言ずつほめるという試みをしたことがあります。
その「ほめられ役」の人が最終的に40以上挙がったほめ言葉のなかで
いちばんうれしかったのがこの言葉だったと言っていました。
考えてみれば誰しもなにかしら程度の差こそあれ努力していることはあるもの。
ですから、あまりこれといってとりえがなさそうな人の
ほめ言葉につまったときには、ぜひこのひと言を便ってみてください。
例によって
「そうだよなあ、朝食はきちんと食べているしな」
「日経新聞をかかさず読んでいるしな」と
この言葉だけで相手は勝手に自分なりの
「努力しているポイント」
を思い浮かべてくれますので別にこちらから
具体的なことに言及しなくても大丈夫です。
日頃の努力を認めてもらえた気がして人によっては
感激して涙を流すかもしれません。
もちろん聞いているうちに
「ほんとうに努力家なんだな」
と相手を見る目が変わることもあるでしょう。
男は「努力」という言葉が大好きなのです。
たとえば仕事の話をしているときであればストレートに
「陰で努力しているんですね」
と言えばいいし、そういう話の流れにならなければ
「いまふと思ったんですけど、○○さんって陰で努力していそうですよね」
と水を向けてみるのもアリです。
ダメ押しで
「絶対なにかしているんじゃないですか?」
なんて言えば、勝手に
「自分はじつはこんなに努力している」
というストーリーを話ってくれます。
そうしたら
「ああ、やっぱり」
「さすがですね」
とリアクションしてあげればいい。
これはおべっかの会話でもないし相手も実際努力
しているのですからウソでもない。
相手からその話を引き出してあげているわけです。
「ウソから出た誠」
とでも言うべきでしょうか。
話を引き出して、語らせて、認めてあげる。
そうすることで相手もいい気分になって
「オレはこんなに努力している人間なんだ」と
自覚できますし、こちらも相手のいままで
知らなかったいい面に気づくことができるのです。