「あなたがそう思うんだったら、そうしようよ」

全米で数百万部も売れた名著である

『賢い女は男を立てる』

(ローラ・ドイル著、中山庸子訳、三笠書房)

という本で発見した目から鱗のセリフです。

私もこのフレーズによってかなり平和になりました。

なにかについて主張し合ったりしているときに

「あなたがそう思うんだったら、そうしようよ」

と言われると急にやさしいモードになります。

「いや、まあ、ほんとうはどっちでもいいんだけど」みたいな。

むしろ「あっ、これで失敗したらオレのせいになってしまう」

と急に気弱になったりもします。

冷静さとやさしさを取り繕いながら

「まあ、でも今回はキミのやりたいほうにしようよ」

なんて急に方針転換したりして。

ほんとうに不思議です。

「私の言っているほうが正しい」

みたいにこられると意固地になって

「いや、オレのほうが正しいんだ」

となるくせに

「あなたがそう言うのなら」

とこられると

「いや、どっちでもいいよ」

となる。

なぜそうなるのかを考えてみると

プライドをくすぐられているからだということは確かなのですが

それ以上の理由は正直言ってわかりません。

もう「魔法の言葉」という気さえします。

これは私だけではないようです。

家具売り場のベテラン店員さんに教えてもらった話です。

お父さんの

「これいいんじゃないか」

という言葉を家族があっさり否定すると

(だめ、お父さん、それ部屋に合わないじゃない)

お父さんは意固地になって

「絶対これがいいんだ!」

みたいになるか

「じゃあ、もう、おまえたちの好きにしろ」

とやる気をなくしたりすねたりしてしまう人が多いそうです。

ところが

「お父さんがそれがいいんだったら、そうしようか」

なんて言葉が返ってくると

「いや、まあ、おまえたちの好きなものを選べばいいよ」

というふうになることが少なくないそうです。

でも正直このフレーズの使用には難しい面も多々あると思います。

「オレ会社を辞めてアフリカで暮らそうと思う。

これからは大地とともに生きるんだ。ついてきてくれるよな?」

といきなり言われても

「あなたが言うのなら」

とは言いにくいでしょう。

同様に

「浮気は男の本能なんだ。だから、これからもオレは浮気をし続けるぞ」に

「あなたが言うのなら」

なんて返す必要もまったくありません。

そう、このフレーズは

「まあ、それほど争うことでもないかな」

「私はほんとうはこっちのほうがいいと思うけど

それで彼(夫)のご機嫌がよくなるんだったら、ま、いいか」

ぐらいの軽いテーマのときのみに使うといいのです。

それがあなたにとって非常に重要なことであったり

彼のご機嫌を多少損ねてでもこの意見を通すべきだ

というときには使う必要はないのです。

ただ男性とうまくつきあおうとするときには

「柔よく剛を制す」

の法則があることは覚えておくといいでしょう。

「私のほうが正しい!」

という強い力で迫ると同じかそれ以上の強い力で

「いや、オレのほうが正しい」

と返してくる。一方

「あなたが言うのなら」

「たしかにあなたの言うことにも一理あるわね」

「そこは気づいてなかったわごめんなさい」と

ふっと力を抜くと、相手も力を緩めてくれる。

100%の保証はできませんが優しいモードや

聞く耳モードが高まる可能性は大きくなります。

男とのつきあい方の極意は

「合気道」の精神にあり!

私は常々そんなふうに思っています。



9.「甘えちゃていい」


目次








































.